文化・芸術

国立新美術館へ

第24回・日洋展と、オルセー美術館展を観に
六本木にある国立新美術館へ行ってきた

1


実はわたし

この美術館を訪れるのは、今回が初めて

当時、設計が黒川紀章だってことでも話題だったんだけど
近くまで行く用事があっても、たまたま中に入ったことはなかったなぁ


流線型の建物もユニークで、街のランドマークって感じ
夜は夜で、ライティングとか素敵だろうなぁ

クールで都会的な印象だけど
あの無機質な感じは好みが分かれるかも

オリジナルなコレクションを持たない、という点からも
美術館ではありながらも、レンタルスペース、「箱」の要素が強いのかな?


同時に幾つもの展覧会が開催できる、大きな箱

風のような水のような、無色透明なスペース

そんな印象を受けた

*

日洋展は、母の知り合いも出展していたので、それも含め
たくさんの絵画を愛する人たちのパワーを感じられたし

オルセーはオルセーで、やはり有名画家たちの印象派作品は
構図であったり、色であったり、光であったり、存在感であったり・・・

やっぱり名画と言われるものには何かある
いいものは残るんだね・・・と思ってしまう何かが感じられた

*

いいものに触れて、味わって
解らないなりにも何かを感じるこころ

器はだんだんと年季を帯びてきましたが(汗)
ハートはクリアに、できるだけピュアでしなやかな状態に・・・

していきたいものです・・・( ̄− ̄)シミジミ

*

子どもの頃、ひとりでお留守番していた時に
本棚にずらりと並んだ画集を引っ張り出し、眺めていた

ドガ、ロートレック、モネ、マネ、ピカソ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン・・・


ひとりで夢中になってページをめくっていた

ひとりっきりのお留守番でも、画集があれば楽しかった


そんな幼い頃の自分をふと、思い出すひとときだった

| | Comments (0) | TrackBack (0)

山本容子さんの世界

よく晴れたGWの後半に

201005_002_small

埼玉県立近代美術館で開催されている
「山本容子のワンダーランド展」を観に行ってきた


山本容子さんと言えば
ユーモラスな作風の銅版画や
どこかパリを想わせる洗練された作品たちのイメージ

今回の展覧会では、身近なモチーフを描いた作品や
新聞、雑誌、絵本の挿絵原画、油彩画の数々に加えて
さいたま市の鉄道博物館に設置された
巨大ステンドグラスのプロジェクト紹介があったりと・・・

予想以上に盛りだくさんで、見ごたえたっぷり!

女3人で出掛けたんだけど
その中で、自身も銅版画製作をしている友がいたので
銅版画についての疑問に答えてもらったり
銅版画ならではのエピソードなんかも教えてもらいながら
楽しく鑑賞することができた

ミュージアムショップでは、山本容子さんの書籍もたくさん揃っていて
欲しいものがたくさんあって、みんなであれこれ迷ってしまって・・・

結局、眺めているだけでも楽しくなる「パリ散歩画帳」と
再販の予定がないということで、展覧会の図録も購入
ポストカードもいっぱい買っちゃった ^^

遊び心満載の、自由でユーモラスな作風や
エッチングの画法が織り成す繊細な線描は、味わい深い織物のよう

かと思うと、大胆なタッチと個性的な構図の油彩画は
独特な色合いからオリエンタルな風を感じることができたり

小粋なエスプリ漂う細やかな作品からは
色彩豊かに細部まで描かれているというのに
全体のバランスが絶妙にまとまっていて、楽しくて見事


色んな魅力を持つ、形にとらわれない、常に新しい、多面性・・・


なんだか万華鏡みたいな人だなぁ


売店でぱらぱらっと立ち読みした自叙伝から
山本容子さんご本人の生き方にも興味が湧いてきた


魅力ある作品を生み出す、魅力ある女性

いくつになっても、そうありたいものです・・・( ̄− ̄).。.:**:.。..。.:

*

今回は、作品はもちろんのこと
会場内の展示方法にも工夫とこだわりが感じられて
最後まで飽きることなく楽しむことができた

緑豊かな公園の中にある美術館なので

森林浴とアートを楽しみに、またお散歩しにこよう

| | Comments (1) | TrackBack (0)

絹谷幸二・退任記念展

上野の東京藝術大学大学美術館へ

201001_003_small

今年の3月で、藝大の教授職を退任する画家・絹谷幸二さん
その絹谷さんの「最後の授業」ともいわれる回顧展に行ってきた


一昨年の秋に日本橋髙島屋で開催された展覧会で
絹谷さんの作品にすっかり魅了され、図録も買ってきたわたし

今回の展覧会は、なんと入場無料!

しかも、この日は
藝大の音楽学部履修生による記念コンサートがあり
こちらも参加無料!


普通の展覧会とはひと味違って、サロンみたい
先生の藝大卒業をお祝いするおめでたいムードが漂っていた

みんなに公開されてはいるけれど、来ている人といえば
なんとなく関係者っぽい人や、画家っぽい人や、美大生っぽい人
それから絵が好きそうな人、描いていそうな人が多い

絵の前で世間話しまくっているような人や、大騒ぎする子供連れもいなかった

わざわざ退任記念展にくるような人だから、あたりまえか・・・( ̄− ̄)


会場に足を踏み入れると
心地いいエネルギーが満ちていて
会場全体がぱぁっと明るく開かれている
絵画も立体作品も、色彩豊かで
どことなくユーモラスで楽しくなってくる

先生の作品は、メッセージ性も大いにあるけれど、とにかく色が印象的
わたしは特に先生のブルーが好き
色彩豊かな絵の前に立っていると、色がそのままダイレクトに細胞に入ってくる気がする
体内の血流とか、心拍数とか、体温とかにも作用している感覚がある(いやほんと)
絹谷さんの絵を毎日体感していたら、健康になれると思う(いやいやほんと)


「絹谷作品から聴こえてくるもの」と題された記念コンサート

先生の作品からイメージされる楽曲のピアノ演奏や
先生の作品からインスパイアされた学生が新たに作曲した曲の演奏
ソプラノの歌声の美しい波動に涙がじわっと湧いてきた

先生の作品の魅力もさることながら、学生さんたちの演奏もすばらしく
その演奏を、学校を去る絹谷先生に向けて演奏されていることがこれまた素敵

後につづく後輩の演奏を楽しみつつ
会場内をうろちょろするお孫さんに微笑む先生も素敵だった

美術と音楽の競演
藝術に垣根はないのねー( ̄▽ ̄)


その後は絹谷先生ご本人が
作品ひとつひとつ(!)を解説しながらゆっくりと館内を巡ってくださった

先生のイタリア留学時のエピソードも楽しかったし
世界と日本との違いについても考えさせられたりしたし
こんなに盛りだくさんで、しかも無料って、すんごいことだと思うんですけど;


というのも、今回の退任記念展、先生としては

  まずは後につづく学生たちに見てもらいたい
  それには無料がいい
  藝大の学生ならキャンパス内で見られるわけだし
  交通費もかからないし

という思いがあったらしい


若い時代の作品や体験談、教育者としての思想などを
学生や学内外のより多くの人々と共有することで
「生きた教育の場」を提供することが目的だったとか


自由で情熱的
ユーモアに溢れ、既存のものに囚われず、進化しつづけている
いのちを歓んでいるような明るさ、大らかさも感じられる
(わたしの勝手な印象だけど)

教授でありながら、きっと先生ご自身も
若い感性にたくさん刺激を受けてきたんだろうな


これからは、この退任展をきっかけにして
もう一度ネジを巻きなおして再出発したいと話す絹谷さん


また新たな作品が生まれる予感にワクワクしてしまう


ワクワクを胸に、一歩踏み出すことを恐れずに・・・
日々進化しつづける絹谷さんと同席できたひとときに、感謝・…━☆

| | Comments (0) | TrackBack (0)

熊田千佳慕さんの世界

松屋銀座で開催されている熊田千佳慕さんの展覧会に行ってきた。


この方の絵は雑誌か何かで見たことがあり、お名前も知っていたんだけど
その時は 「図鑑の絵みたい。あんまり好みではないな」 と思った気がする。

けれど、実際に膨大な数の原画と対面したら
好きとか嫌いとかのジャンルとはかけ離れた、珠玉のきらめきを感じた。

時間と手間と情熱をかけた作品の数々。
一言で言えば、「愛」

「愛」としかいいようがない。


作品もさることながら
千佳慕さんの遺された言葉に
はっとさせられる。


*

うそやごまかしがないように描くのは
小さな人に見てもらうため


できあがった絵は
それを描かせてくださった
神さまへのレポートなのです


自然は、自らの美しさを知らないから
奥ゆかしく美しい


私は雑草という言葉を使いません
どんな小さな花でも、みんな名前を持っていますし
どの花もそれぞれの美しさを持っているからです


私は虫であり、虫は私である
私は花であり、花は私である
そして自然は私のためにあり、私は自然のためにある


虫と花と対話して答えを待つ
そんな積み重ねが一枚となるのです


すばらしい生物画家になることより
虫や花たちの言葉のわかる画家になりたかったのです


自然は、美しいから美しいのではなく
愛するからこそ美しいのだ


見て 見つめて 見きわめて
私は心の目で、自然を描きたい

*


若かりし頃は、デザイナーとしても活躍されて
写真家の土門拳さんとは同僚だったらしい。

その後、挿絵や絵本を手がけ
70歳の時にボローニャ国際絵本原画展に入賞され
80歳を過ぎてから、さらに世界へと開かれていったそうだ。

学術書に掲載されるような精巧な細密画、というだけではない。
構図や色彩感覚、全体のバランスが絶妙で
職人技のようでありながら素晴らしい芸術作品。
いのちの営みや美しさに敬意を持って描かれ
爽やかで愛らしく、残酷でもある生を描き
それゆえ真の力強さが感じられる。

それでいて、作品の片隅に小さく記された「KUMACHIKA」という文字に
お人柄が偲ばれて、思わず微笑んでしまう。
千佳慕さんの描く作品は、やはり千佳慕さんそのものなのだろう。

たった一本の絵筆を使って、点描のように色をのせていく。
一枚の絵に一ヶ月、長いときは数年を費やすこともあったという。
描き終わると歯肉が腫れて、歯がガタガタになってしまうこともあったという。

愛するものを誠実に、忠実に、敬意をもって描いたにしても・・・
まさに骨身を削る作業だったということが窺える。


幼少時代から病弱で、家で過ごすことが多かった五郎少年こと千佳慕さん。

ファーブル昆虫記に夢中になって、庭の虫や草花に興味をもった千佳慕さん。


目の前のものをじっくりと見て、観察して、見極め取り組むことで
対象そのものに宿るいのちを細部まで具現化しようとした千佳慕さん。


きっとわたし、普段目に映るものって、見ているようで、見ていない。

見ようともしていないかもしれない。


作品を眺めながら、オーラソーマのマジェンタカラーを思い出していた。

神の愛は身近な小さきものに宿る。


大事なのは
どれだけ多くのことをしたかではなく
どれだけこころを込めたかです・・・


という、マザーテレサの言葉を思い出した。


「どこか遠く」ではなくて
自分のいる場所こそが世界であり、宇宙であるということを
改めて思い出すことができた。

*

展覧会2日目にあたる8月13日に
熊田千佳慕さんは突然亡くなられてしまった。

今回の展覧会の作品選定から配置など、準備を重ね
開催をとても楽しみにしていらっしゃったそうだ。

亡くなられてしまったのは残念だけど
寸前まで準備でワクワクされていたそうなので
きっと最期はしあわせだったのかな・・・


なんてことを知人と呑みながら話していたら

「そんなこと本人にしかわからないよ(笑)」

と言われた。


ふふ。確かに。

もっともっと、いっぱい描きたかったかもしれないもんね。

でもきっと、あちらの世界でも描きつづけるんだろうな・・・
 


あっ、それも本人にしかわからないか(笑)
 
*

美しく装丁された画集は、ページをめくるたびに幸せな気持ちになる。

大切にします。

ありがとう、千佳慕さん。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ていぱーくへ行く

わたしって、昔からけっこう切手が好き。
可愛い記念切手が売っていると買ってみたり
素敵な絵柄のものは額に入れて飾ったりして楽しんだりしている。

と言ってもマニアックなコレクターでもなければ
ご丁寧にピンセットで扱うわけでもなく
きっかけは「小さくて可愛いもの好き」というところからなんだけど。

ということで、大手町の逓信総合博物館(ていぱーく)に行ってきた。

200907_005_small

建物全体としては、なんというか歴史を感じさせる渋い佇まいで
電信電話に関わる歴史博物館みたいな感じだった。

小学校の社会科見学気分を味わえて、案外勉強になるし
3階の資料室には、世界中の切手がいっぱい保管してあった。

つるこ興奮!!

国によっても絵柄やデザイン、色々あって楽しいんだよねー!

・・・でも閉館時間が迫っていたのでほとんど見れず・・・

他にも世界の電話や郵便ポスト、制服の展示もあったりして
マニアックな方にはたまらないかも★


わたしの目的は切手の特別展を見ることでした。

200907_002_small

「愛を奏でる切手のかたち」
というテーマの展示で
貴重な天皇家のご成婚記念切手や
世界の国々のロイヤルファミリーの切手
ユニセフにまつわる切手、看護週間、家族愛、人類愛、
自然や動植物への愛、などなど
様々な「愛」にまつわるエピソードから生まれた切手と
その原画(!)が公開されていた。

つるこウハウハです。
こういうの大好き。

もちろん絵画鑑賞は好きなんだけど
そういった芸術鑑賞とはまた違った感動がある。

切手という郵便ツールであり金券という実用的なものに
時代やテーマやエピソードが重なって、それでいて一枚の芸術品であるということ。
しかも、数十円払えば誰でも手に入れることができる親しみやすさ。
その一枚で、海の向こうにもメッセージを届けることができる可能性。


なんでこんなに熱く切手を語ってるのかよくわからんけど;

・・・えーと、とにかく海外旅行に行っても
その国の切手をお土産に買うわたしですから
やはり興奮してしまうのですよ。

過去に見たり使ったりしたことのある切手の数々や
その美しい原画の数々に対面できてすごく嬉しかったし

なにより今回の目玉は
「まぼろしの切手」と言われている作品(?)

昭和天皇皇后両陛下のご成婚記念切手。
しかし不発行なので、世に出回っていないのだ。

大正12年11月に予定されていたご婚儀が
直前の9月1日の関東大震災で延期となってしまい
印刷局や倉庫も焼失したため、切手も絵葉書もすべて燃えてしまったんだとか。
で、この難を逃れた分が、すでに南洋諸島に発送済の切手だけだったので
急遽その分が東京に返送されたらしい。
返送された分は皇室に献上されたため、やはり出回らず
今回展示の切手は至宝中の至宝なんだって。

ねー、切手一枚にもドラマがあるでしょー?
(ってあたし何者? 回し者じゃないですよ・・・)

今回、この展示も館内も「ご招待券」があったから無料で見れたし
そうでなくても、110円払えば入館できるというリーズナブルさ。

日によっては「絵手紙教室」があったり
「マイ切手作成」ができる企画があったらしい。

自分で描いた絵で切手作りたかったなー(゜▽゜)

ちょっと地味めなスポットかもしれないけど
何かの用事で近くまで行ったときは寄ってみるのもいいかも、です^^


ちなみに、郵便局で久しぶりに買った記念切手

200907_003_small

日本初、ホログラムを使った光る切手‥…━☆
オーロラだー♪

| | Comments (0) | TrackBack (0)

岸田劉生展

週末、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館へ。

会期中ギリギリ間に合った「岸田劉生展」を観る。
岸田劉生というと、娘さんを描いた「麗子像」のイメージが強かった・・・
というか、麗子像ぐらいしか知らなかったわたしとしては
今回初めて知ることが多く、それだけでも行ってよかったと思う。


クリスチャンとして神を信仰し、牧師になろうとした時期があったこと。
一時期、集中して多くの自画像を描いていたこと。

身近な人々を片っ端からモデルに肖像画を描いて
「岸田の首狩り」なんて言われるほどに人物画に没頭していたこと。

わたしが好きな麗子像・・・
ケープを身につけて微笑む油彩の麗子像は展示されていなかったけど
他の麗子や、その友達の少女、今回初めて奥様の像を観ることができた。

初期に集中して描かれた自画像が・・・
試行錯誤しながら、短期間にあれだけ自分に向き合ったことに驚いた。
描かれた顔もご本人にそっくりで、確かな技術と観察眼を感じたけど
それにも増して、描き込むほどに真に迫っていく感じが伝わってきた。
友人知人の肖像画も、ご本人の特徴を捉えてよく描き込まれていた。

ただ写実的に「似ている」というだけではなくて
その人の内面まで引っ張りだされているような迫力があった。

岸田さんの描く自画像からは
自分自身の内面を深く探求しようとする勢いが感じられた。
彼がクリスチャンである、ということにも関わりがあるような気がした。

やはり作品には、その人の魂が宿るのだろう。

*

200907_001_small

美術館の展望室より
都会の真ん中に、うっすらと緑のオアシスが見えてます

| | Comments (0) | TrackBack (0)

国宝 阿修羅展

東京国立博物館・平成館で開催されている
「国宝 阿修羅展」に行ってきた。

20090403_003_small


奈良・興福寺の創建1300年を記念しての、今回の展覧会。
同寺の再建事業にあわせて実現されたという。
遥か彼方からの名宝を拝めることに、感謝。


奈良時代に使われていた杯や鏡、水晶や金の延板や
教科書で見たことのある和同開珎を間近で観る。

8世紀・・・

今が21世紀で、西暦2009年だけど
8世紀に作られて、当時700年代ってことでしょ?

展示されている品々を観ていると
その時代には既に、素晴らしい技術と文明が成り立っていたんだなぁ・・・
と思い知らされる。

高い美意識と、明晰な頭脳、優れた技術。
芸術家であり、職人でもあり、科学者だなと。

別に今現在の人間が優れているわけでも、進んでいるわけでもない。

むしろ当時の人々は
何も整っていないところから礎を築いていったんだからね・・・

いにしえの人々が遺してくれた品々から
当時の人々の思いや息づかいが伝わってくるような気がした。

*

会場を進み、八部衆(仏教の守護神)と十大弟子(釈迦に随った高弟)の像を拝む。

一体一体が、実に個性的に、表情豊かに存在していた。
一体一体を、じっくりと眺められることに奇跡すら感じた。

幾多の戦火をくぐり抜けて、そこに在ることに
「よくぞご無事で・・・」 と、お声をかけたくなるような衝動に駆られた。


それから、いよいよ今回のタイトルにもなっている、阿修羅像とご対面。

阿修羅に辿り着くまでに、会場内もだいぶ引っ張るというか
期待を膨らませながら、ようやく辿り着ける・・・という演出が見事だった。


薄暗い通路を歩き、ようやくお目見えした阿修羅像は
広いスペースの真ん中に、不思議な光を放って浮かんでいた。

三つの顔に、六本の長い手
正面に立つと、こちらの心臓を射抜くように
阿修羅の瞳がわたしの内側を見つめてきた。

目があった、と思った。
激しく真っ直ぐな視線。
視線を逸らせない。

魂が宿っている、としか思えない。
すべてを見透かされているような気がした。

なんだか、阿修羅に


・・・おまえ、それでいいのか?


と、問題を突きつけられたような気がした。


六本の長い手の様子から
オーラソーマでポマンダーワークをする姿に似ている、と思った。
この世を越えたものと交信しているような・・・

存在自体が宇宙、とでもいうような。


厳しいような、凛々しいような
どこか憂いを帯びた表情に見とれて
長いことその場から離れられなかった。


今回は、横からも後ろからも
ぐるっと周って拝観できるように設置されているので
またとない機会とあってか、たくさんの人が阿修羅を取り囲んでいた。

遠くから見ると、なんとなく
アイドルのコンサートに詰め掛けるファンのようにも見えるし
阿修羅自身が、救いを求める人々を救済しているようにも見えた。

*

そんなこんなで、阿修羅展。
これほどの規模で、これほどの機会はなかなか無いはず。
生きているうちに対面できて、本当に良かった。
今回、この企画に携わった人々にもお礼を言いたい。


国立博物館の建物自体も、素敵で見応えあるし
2階の窓からは、満開の桜を楽しむこともできた。

20090403_002_small

まるで一枚の絵のようです


  余談ですが、同じ奈良ということで
  土産コーナーになぜか「せんとくん」グッズがありました
  思わず「せんとくんて・・・」とツッコミを入れてしまひました・・・
 
*

この季節は桜もほぼ満開で
東京国立博物館内の庭園も開放されていた。

東洋館側から入ると、裏庭には緑や花々、池や茶室もあって
気持ちの良い散歩コースになっていた。

上野公園の酒盛りどんちゃん花見がちょっと苦手な方は
こちらの静かな空間で、春のお散歩を楽しんでみてもいいかも・・・♪
 


| | Comments (4) | TrackBack (0)

相田みつを美術館


体調を崩して、午前中で会社を早退した木曜日。


お弁当を作ってきたんだけど、社内で食べる気にもなれず・・・
東京国際フォーラムの広場に腰掛けて、風を感じながら食べた。

頭が痛いんだから、とっとと帰ればいいのに、貧乏性なわたし。
なんか勿体ない気がして辺りを見まわすと、目の前に「相田みつを美術館」が。

無料券を持っていたことを思い出し、ふらふらと入っていった。

相田みつを美術館

この時期の企画展は、「ひとりしずか 〜 相田みつを 日めくりの世界 〜」
トイレ用の日めくりカレンダーに掲載された作品を主に展示されている。
「トイレは自分と向き合う場所」と語るみつをさん。
・・・だから「ひとりしずか」なのか。

*

この美術館が、銀座にあった頃に訪れたことがあったけど
国際フォーラムに移転してからは、初めてだった。
こんなに立派な美術館になっているとは、ちょっと驚いた。

一時期、ブームの頃に相田みつをさんの本を何冊か買って
その書や詩に感動したりしたこともあったんだけど
こうして、また作品に向き合ったのは久し振りだった。

わたしはひねくれ者なのか
一時期は、みつをさんの作品そのものが
説教くさいような・・・押し付けられているような・・・
なにかちょっと重たい気がして、遠ざけていた時期があったように思う。

今思えば、わたし自身の捉え方の問題だったのかも。


色々とこころに響く言葉があった。

作品そのものもいいけど、作品の横に添えられている解説や
作品に込められた、みつをさんの思いが綴られた言葉に感銘を受けるものが多かった。

帰りに幾つかのポストカードを買った。

7〜8年前に買ったポストカードは
一期一会のような「出逢い」のテーマだとか
「こういう人でありたい」というような内容のものが多かったけど

今回目に留まったものは
自分が具体的に行動する力、とか
苦難を乗り越えるといのちの根が深くなる、とか
涙でまなこが洗われて、目の色が深くなる、とか
そういった内容のものだった。

その時々によって、響く言葉も違ってくるんだな・・・と実感。


みつをさんの言葉を借りて言えば


 人間なんだから、つまづいたっていい
 みんなそれぞれに、ほんものなんだから
 常に感じるままに、感じて動いて
 ただひたすらに、自分の花を咲かせればいい


と、しみじみ思ったひとときだった。


ちなみに、おみくじ気分で買ったフォーチュンクッキーには

こんな言葉が。


お金かぁ・・・
うーん、ごもっとも ( ̄− ̄;)

| | Comments (2) | TrackBack (0)

丸木スマ展

 
埼玉県立近代美術館で開催されている
「丸木スマ展 ~樹・花・生きものを謳う~」を観にいった。


丸木スマさんは、画家の丸木位里さんのお母さんでもあり
同じく画家の丸木俊さんの、義理のお母さんにあたる。

これまでに何度か観たことのある、位里さん俊さんの原爆の絵。

あの恐ろしく重いイメージが大きかったせいか
スマさんの絵を観る前、なんとなくどよんとした不安と緊張感があった。


ところが、会場に並んだ作品の数々は、まるで童画のように無垢で生き生きとしていて
伸びやかでユーモラスで、モチーフも生き生きと飛び跳ねているみたいだった。

たくさんの色を使って描かれているわりに、色調が落ち着いているせいか
ずっと観ていても疲れないし、むしろ独特な世界に引き込まれそうだった。

植物や動物たちのいのちの鼓動が、作品の向こうからびしびし伝わってきた。

「自画像」と題されたスマさんの、にへら~っとした笑い顔に噴き出してしまった。


童画のようなのに、すべてを計算し尽されたかのような構図やバランス感があって
美術を学んできた人には出せない味や、天賦の才能みたいなものまで感じられる。

もちろん本人のスマおばあちゃんは、そんなこと思っていなかったんだろうけど。


*

スマさんは幼少時代、ほんとにお転婆だったみたいで
寺子屋から逃げ出しては自由に野山を駆け回ったり
お尻を丸出しにして木に登っては人を笑わせたりしていたらしい。
そんな調子だから、読み書きもちゃんと習っていなかったとか。

それが、スマさんが70歳の時に、長男の嫁である丸木俊さんの勧めで
初めて絵筆を握り、思うままに描くことから思わぬ楽しさを発見したようで
晩年は 「絵を描き続けるために長生きしたい」 と話していたとか。

確かに、初期(といっても70歳!)のころの絵も魅力的だけど
歳を重ねるごとに、描き続けるごとに、どんどん絵が上達していくのが
素人のわたしでさえも見て取れる。
元々のスマさんの自由で伸びやかな作風に、さらに迫力が増し
洗練されていくのがわかる。


年表を見て初めて知ったんだけど
なんとスマさんは81歳の時に、近所の顔見知りに殺害されたそうだ。


それを知ってしまうと、なんだか複雑な気持ちになってしまったけど
それを超えてしまうほどの圧倒的な生命力を、数々の作品から受け取った。


晩年の大作に、「簪(かんざし)」という作品がある。

伸びやかに枝を伸ばした木々や青々とした葉、色とりどりの花
たくさんの鳥や虫や動物たちが集い、世界を謳い上げているような作品。

おそらく、この作品が最晩年のものに近かったんじゃないかな。

この作品に「簪(かんざし)」というタイトルをつけたのは
お嫁さんの丸木俊さんだったらしい。


  苦労して、働き通しだった母に、きらきら光る簪を贈りたい
  おばあちゃんの生涯を、きらきらした簪で飾ってあげたい
  この作品は、おばあちゃんの生涯の曼荼羅図だ


という思いを込めたんだって。

なんだかじんとくるな。

悲しい最期だったかもしれないけど、愛された人だったんだろうな。


自分の生涯の曼荼羅図かぁ・・・
どんな形であれ、誰でも自分の曼荼羅を残すために
生きているのかもしれないな。

*


| | Comments (0) | TrackBack (0)

ちひろ美術館

 
先週末に、東京・石神井にある「ちひろ美術館」に行ってきた。

ちひろさんが、実際に暮らしていた跡地にある美術館。

以前行ったのは、15年くらい前だったのかな?

当時はまだ、普通の住宅に少し手を加えた程度で
子供たちの脱いだ靴が散乱している感じがまたほのぼのとしていて
美術館というよりも、絵本図書館のような雰囲気だったんだけど
今回行ってみてビックリした。

ほんとにちゃんとした美術館になっている!

Wedding_013_2Wedding_037_3

中はこじんまりとしつつも、ミュージアムショップやカフェが併設されている立派な美術館。
静かで落ち着いた空間に、展示室が数ヶ所あり
世界の絵本が楽しめる図書室や、キッズルームもあって
子供連れでも安心して楽しめる。

ちひろさんの作品の数々は、昔大好きだった絵本を思い出したり
色彩や技法や構図の素晴らしさを再認識したり
やさしいあたたかい目線で描く子供や赤ちゃんの絵に思わず微笑んだり

戦争と平和に対する強いメッセージを受け取ったりした。


カフェにはおいしそうなケーキや軽食、ドリンクメニューの数々が。

この日のわたしは、なんとなく
シンプルに信州りんごのジュースをいただく。

Wedding_038_2

ちひろさんが暮らした家の
庭の花を眺めながら、のんびりと。

風がそよそよ・・・
緑の香りが心地いいテラスで。

この日は暑くて、午前中歩き回ったから
このシンプルなジュースがやけに美味しかった!


以前の美術館の感じもよかったけど
こんな素敵な空間に生まれ変わっていたことに感動。

ちひろさんのファンらしき人も、遠方から訪れていたみたい。

ちひろさんの美術館には、感想を書くノートが置いてあるんだけど
図書室に行ってみたら、開館してからこれまでのノートが
立派に製本された状態で、すべて残されていた。
「ひとこと ふたこと みこと」 というタイトルがついていて
自由に見ることができるようになっている。

すっごい!

きっと、15年前にわたしが記した言葉も、製本されているんだろうけど
あまりに冊数が多くて探し出すのは厳しそうだったので、今回は断念・・・

*

東京・石神井の住宅街の一角にある、静かで落ち着いた美術館。

ゆっくりと絵を味わうもよし
なんとなく訪れるもよし

やさしい気持ちになれました。
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)